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厳冬期の「雪氷大津波」 [厳冬期の地震・津波]

P1_千島海溝沿いの評価対象領域(地震本部資料より).jpg
昨年末公表の「千島海溝沿いの地震活動の長期評価」改訂(第三版)によれば、北海道東部沖の「千島海溝」で、大津波を伴うマグニチュード(M)8.8程度以上の“超巨大地震”が「切迫している可能性が高い」という。厳冬期を迎えた12月公表というタイミングに他意はないだろうが、実は、北海道周辺で過去200年間に発生したM6以上の地震41回のうち16回が冬期(12月~3月)に発生、そのうち6回は津波を伴う地震だった。“雪氷津波”に想定外は許されない


■《Bosai Plus》 第177号・2018年01月01日号発行!
同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●新年のご挨拶

 明けましておめでとうございます。
 旧年中は小紙をご愛読たまわり、まことにありがとうございました。
 本年も防災メディアとして、微力ながら、“防災志”を旗印に「災害犠牲者ゼロ」に向けて、読者のご支援とともに歩みたい所存です。
 よろしくお願い申し上げます。

●厳冬期の千島海溝“超巨大地震”と大津波

 地震調査研究推進本部の地震調査委員会が公表した「千島海溝沿いの地震活動の長期評価」で、“超巨大地震”発生の発生が「切迫している可能性が高い」と評価し、大きな話題を集めています。
 いっぽう内閣府に設けられた「日本海溝・千島海溝沿いの巨大地震モデル検討会」は2017年度内(本年3月末まで)に千島海溝と日本海溝で起きる巨大地震について想定される最大クラスの巨大地震や津波の見直しと新たな被害想定を公表する予定とのこと。
 本号はこうした“評価・想定”にちなんで、起こり得る厳冬期の「雪氷津波」のリアルに想像を巡らしました。

●旧耐震から新・新耐震基準まで、“最低基準”の進展

 わが国の災害対策は基本的には災害の後追いで対策が講じられてきました。そもそも災害対策基本法の成立は1959年伊勢湾台風が契機でした(2013年運用開始の気象庁特別警報は台風について伊勢湾台風クラスを想定していますが、“最悪想定”ならば、経験を超える規模を想定すべきでは?)。

 建築基準法の地震力についての耐震基準制定も、遡れば1923年関東大震災(大正関東地震)に発し、現代に至るその改定の変遷も、1978年宮城県沖地震を受けて1981年に新耐震基準ができ、1995年兵庫県南部地震(阪神・淡路大震災)を受けて2000年の改定で“新・新耐震基準”とも呼ばれる基準強化が行われてきました。
 耐震基準については“最低基準”であることに議論もありますが、行政としては、まずは「既存不適格」建物の一掃が先ということでしょうか。

●災害・防災研究の最先端とは その象徴としての地震保険料率?

 いっぽう地震保険制度は1964年新潟地震を受けて1965年に創設されましたが、阪神・淡路大震災や2011年東北地方太平洋沖地震(東日本大震災)を受けて基準料率の改定が再三行われ、昨年(2017年)1月にも改定されています。
 今日の地震保険料の基準料率の算出法は、地震調査研究推進本部が2005年から公表を開始した「確率論的地震動予測地図」に基づく手法を2006年から導入しています。ところで、それ以前はどうしていたかご存知でしょうか。

 実は制度創設以来約40年間は、国立天文台編纂「理科年表」の地震資料(過去500年間の375件の被害地震)から損壊率や焼失率を推測・数値化したものでした。つまり、古文書も含めて記録のある過去の被害地震、それもわずか375地震に基づく料率という、素人目から見ても“錬金術的”なものだったようです。
 これに対して「確率論的地震動予測地図」に基づく料率は「今後、被害をもたらす可能性のある地震」を対象に、その震源数約73万という膨大な震源モデルを基礎データとしています。

 もっとも、「確率論的地震動予測地図」そのものの精度・確度についても議論もあると聞きますが、少なくとも国による最先端の地震研究資料が基礎データであれば、保険料を支払う国民の理解も得られやすいということでしょうか。

   (M. T. 記)

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