齋藤徳美氏(岩手山協議会)「噴火対策の落し穴」 [火山災害]
上写真:岩手山山頂部とカルデラ(Photo courtesy Wikimedia)。齋藤徳美・岩手大学名誉教授は岩手山火山防災協議会・避難計画作業部会長で、岩手県の火山活動に関する検討会座長を務める。岩手山火山防災協議会は、2014年御嶽山噴火を受けた改正活火山法に基づいて2016年3月に発足。岩手山の火山ハザードマップや火山防災ガイドラインはすでに策定されており、同協議会の避難計画作業部会は今年度中に避難計画を策定する予定。現在、岩手山の噴火警戒レベルはもっとも低い「1」となっている。
■《Bosai Plus》 第180号・2018年02月15日号発行!
(同P. 1(「もくじ」付き)へリンク)
【 本号特別企画(PDF 1.00MB)を特別公開いたします。下記タイトルをクリックして掲載URLアドレス(Microsoft OneDrive)からダウンロードしてご覧ください 】
齋藤徳美:草津白根山の噴火で露呈した噴火対策の落し穴
●突発的噴火の避難計画をどうする 「座長」の懊悩(おうのう)
本号は、草津白根山の噴火を受けて齋藤徳美・岩手大学名誉教授からご寄稿をいただき、前号に続いて火山防災が巻頭記事です。
齋藤先生は岩手山火山防災協議会・避難計画作業部会長で、また岩手県の火山活動に関する検討会座長を務められています。報道によると同避難計画作業部会は去る1月22日、岩手山噴火に備えた避難計画の骨子をまとめ(奇しくもその翌日、草津白根山の噴火が発生)、避難計画は今年度中に策定されるとのことです。
ご寄稿から、御嶽山、草津白根山などの“突発的噴火”によって、いま火山防災でもっとも注目される「避難計画」の策定という、実にホットで悩ましい課題に取り組んでおられる先生の心中が察しられます。ぜひその“懊悩”(先生によるタイトル付け)を読み取っていただければと思います。
以前この欄でご紹介させていただきましたが、齋藤先生は本年度防災功労者 内閣総理大臣表彰を受けられています。これまで先生から何度もご寄稿をいただいている小紙としてもまことに誇らしいことです。
なお、齋藤先生による本紙への直近の寄稿記事は下記に掲載されています――
>>《Bosai Plus》:2017年7月1日号(No.165)「防災+防災士で災禍を防ぐ」
また、先生によるほかの寄稿記事等へのリンクは下記記事の文末にあります。ご参考まで。
>>《Bosai Plus》:2017年4月1日号(No.159)「岩手県第三期事業計画」
●台湾の緊急地震速報と地震予測
台湾で2月6日深夜に起きた活断層地震(M6.4)は、直上の花蓮で震度7とされる揺れとなり大きな被害をもたらしましたが、余談として、Record China(中国関連のニュースを日本語で日本国内向けに発信するメディア)によると、「緊急地震速報が間に合った」という多くの市民ユーザーの声を伝え、その技術が「日本に追いついた」と感動していると伝えています。
>>Record China:台湾地震、発生より早く緊急速報=「日本に追いついた」の声
台湾の緊急地震速報について本紙は知識がありませんが、震源の深さ10km程度の直下地震と聞いていますので、緊急地震速報が間に合ったというのは興味深いですね。地震の固有のメカニズムによるものだったのでしょうか……
Record Chinaはまた、台湾気象局地震測報センターの地震予測が外れたと伝えています。2月4日ごろから花蓮周辺で地震が頻発、これについて気象局は「地震は地殻エネルギーの放出によるもので、大地震が発生するほどのことはない」との予測を発表していたのだそう。
>>Record china:台湾東部で震度7の地震、気象局の予測が外れていたことが判明
この判断は、残念ですが、日本に追いついてはいなかったようです(日本ではもう、地震予測について安全情報は出し得ませんから)。
●長くなりますが、もうひとつ――防災訓練のバケツリレーに課題浮上か
本紙「ClipBoard」の【報道クリップ】で取り上げていますが、アパートの一室の火災を消化しようと住人たちがバケツリレーしていて、火元に水をかけていた先頭の男性が倒れ、搬送先の病院で亡くなったそうです。
>>サンスポ:愛知・豊橋アパートで火災 男性1人が死亡、バケツリレー中にCO中毒か
「CO中毒か」とありますが、もしそうだとしたら……いえ、そうでなくても、建物内の初期消火に深刻な課題が浮上したと言えます。
地域の防災訓練でのバケツリレーで重要な注意事項として特記しなければ……
(M. T. 記)
コメント 0