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日常防災のリアリティチェック [防災啓発]

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上画像は、“その場コミュニティづくり”をキーワードとする避難所運営プログラム『さすけなぶる』のロゴ。コミュニティの崩壊が言われるいま、それを逆手に開き直って(?)、その場で「人」が主役の避難所コミュニティづくりにチャレンジ!

■《Bosai Plus》 第182号・2018年03月15日号発行!
同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●本号特別企画 “ひとひねりの”リアリティチェック

 本号の特別企画は「日常防災のリアリティチェック」。ひとひねりしたタイトルですが、直近の企業情報からちょっとひねったユニークな防災アイデアが入ってきたことが直接のきっかけです。同時に「ARISEジャパン・シンポジウム」(P. 3)取材もヒントになりました。
 このシンポジウムでは、企業の危機管理や官民連携、国連防災がらみの国際的な広がりのいっぽうで、あるパネラーからの「ここ(シンポジウム会場)東京・港区虎ノ門の防災はだれが担うのか」という話題提供から一挙に、“ひとひねり”のひねりが深くなりました。

 つまり、虎ノ門にいる人たち(勤め人)は大多数が郊外に住んでいて、いったん日中に大地震が起こって交通網・交通機関が遮断・停止したら、応急的な災害対応や帰宅困難者受け入れは虎ノ門拠点企業が担うことになるのが“リアリティ”。
 そのとき企業は、いわゆるコミュニティとはまったく関係のない人びとを受け入れる仮設避難所となる可能性もある――その話を受けて『さすけなぶる』の“その場避難所、その場コミュニティ”づくりにつながり、本号特別企画の「リアリティチェック」に結実したわけです。

 シンポジウムでは中林一樹先生の「超超高齢者」の話題から元気な高齢者が助ける側に回ることへの期待が語られ、さらに『さすけなぶる』のキャッチフレーズが「あなたの人生がマニュアルになる」で、連想ゲーム的に神奈川県総合防災センターの「シニア向け防災講座」にもつながりました。この講座は「豊かな知識、豊富な経験が災害時にきっと活きる」とうたっています。

●仙台支局発の高橋さん、アマチュア無線資格をお持ちです

 本号の仙台発はアマチュア無線と防災、防災士というまことに興味深い話題。
 ライターの高橋英彦さん、実は第3級アマチュア無線技士で無線開局30年というベテラン。「自宅以外では趣味の登山のときに山頂から無線交信を楽しんでいます」とのこと。
 趣味は、仙台発鉄道シリーズでも博学ぶりを発揮しているように、鉄道から登山、地酒、蕎麦屋めぐり……「豊かな知識、豊富な経験が災害時にきっと活きる」、頼りになる多芸多才な防災士です。

   (M. T. 記)
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生涯教育としての防災学習 [防災啓発]

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上画像は、神戸大学都市安全研究センター「RCUSSオープンゼミナール」ホームページ掲載のこれまでの講義のテーマ・キーワード集(ラベル)。阪神・淡路大震災の2年後の1997年からほぼ毎月1回開講し、本年でちょうど20年を経過。来る11月18日開催予定の同ゼミナールは第227回となる


■《Bosai Plus》 第174号・2017年11月15日号発行!
同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●本号特別企画「防災の学び」にちなんで

 やや旧聞に属しますが、経済協力開発機構 (OECD)による国際成人力調査(PIAAC)という世界規模の調査結果が2013年10月公表されています。OECD24カ国の労働力人口(16歳~65歳)について「読解力」、「数的思考力」、「ITを活用した問題解決能力」のスキルを初めて評価したもので、それによると――日本は上記3つの項目のいずれも1位だったそうです。
>>文部科学省:OECD国際成人力調査(PIAAC)調査結果の概要

 いっぽう、この国際成人力調査で、各国の成人(30歳以上、ただし米国、ドイツは年齢を調べておらず対象から除外)に「現在、何らかの学位や卒業資格の取得のために学習しているか」との質問項目があったそうです。
 ニューズウィーク日本語版での教育社会学者・舞田敏彦氏の解説(寄稿)によると、「日本は1.6%とランキング18カ国の中でもっとも低く、学校で学ぶ成人がもっとも少ない。最高はフィンランドの8.3%で日本のおよそ4倍。上位は北欧の国々で占められ、教育有給休暇や学費の無償化など、成人が学び直しできる制度が整っている」とのこと。
 舞田氏は続けて「日本では教育を受ける機会が人生の初期に集中しているが、求められるのは、教育期と仕事期(引退期)の間を自由に行き来できる『リカレント教育』の実現だ」としています。
>>ニューズウィーク日本語版:日本の成人の「生涯学習」率は先進国で最低
●「リカレント教育」はいま……“防災の学び”こそ時代の流れ?

 「リカレント教育」とは――OECDが1970年代に提唱した生涯教育の一形態で、個人が社会に出てからも繰り返し再教育を受けられる循環・反復型(リカレント:recurrent)の教育システムを指すそうです。
 この「リカレント教育」、最近ときどき耳にします。というのも、現政権が「人生100年時代構想推進会議」を立ち上げて人材力の強化を掲げ、教育機会の確保やリカレント教育等について検討を進め始めたから。

 これまでわが国では、“大人の再教育”と言えば長期雇用を前提として仕事に必要な知識・技術を習得する企業内教育や、仕事に役立つスキルアップが中心でした。しかし近年は、終身雇用が揺らいで非正規雇用が増加し、少子高齢化や人口減少を背景に、“学び”の目的も、実務的なものから心の豊かさや生きがいのためというように変わってきたみたいです。

 となると、経済成長のための「リカレント教育」よりは、社会の安全・安心のための「防災リカレント教育」のほうが時代の潮流かもしれません。
 本号の特別企画にみるように、「防災リカレント公開講座」はますます意気盛んですよ、安倍さん……

   (M. T. 記)

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いま改めて、リアルな最悪想定 [防災啓発]

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上画像は東京都の「地震に関する地域危険度測定調査」(第7回)より。都内の各地域における地震に関する危険性を、建物の倒壊および火災について測定したもだ。しかし、リアルな首都直下地震ではこうしたリスクをはるかに超える災害リスクの“負の連鎖”が起こり得る。危機管理の要諦「最大のリスクは自らの死」を心に刻むべきだろう

■《Bosai Plus》 第171号・2017年10月01日号発行!
同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●メキシコ地震に触発されて……改めて、「リアルな最悪想定」

 本号特別企画「リアルな最悪想定」の発案のきっかけは、9月7日と19日に発生したメキシコ地震でした。とくに19日の地震は、32年前の1985年同月同日に発生したメキシコ地震(M8.0、死者約1万人)と発生日が符合し、その教訓を踏まえた防災訓練も行われていたようです。

 私たちから見れば自然界のハザードは、災害をもたらし、人間と対立し、冷徹に見える自然の営みですが、あくまで自然の(自然な)現象です。私たちは、対岸のメキシコ地震が連続して起こった、あるいは偶然32年前の大地震と同月同日に起こったことで、ついその意味や背景を探ろうとしますが、それは、私たちの分析や想定を寄せつけず、はるかに超越して、自然の摂理として起こります。
 私たちがそれに備えていようがいまいが、無関係に。

 直近のメキシコ地震で、そういう自然の営みの正体(本質)が改めて垣間見えたように感じ、現代の私たちの自然災害への備えがいかに“正常化の偏見”に満ちているか(甘いか)を、思い知らされたように思いました。
 そしてたまたま予知の可能性に40年間すがり続けた東海地震・大震法見直しが、メキシコ地震と重なりました。南海トラフ巨大地震の、あるいは、首都直下地震の「リアルな最悪想定」を改めて直視すべきではないのか――

●東京都が都民からの事業提案を募集

 本紙(P. 3)の囲み記事で取り上げたように、東京都がいま、従来の発想に捉われない防災分野を含む事業提案を都民から募集中です。
 都から“期待する視点”が示されてはいますが、そうした視点も超えるような、首都直下地震のリアルな最悪想定、スーパー都市災害に応え得る実効性のある防災アイデアを考えてみませんか?

●齋藤徳美先生が 2017年度防災功労者 内閣総理大臣表彰を受賞

 本紙に幾度もご寄稿をいただいている齋藤徳美・岩手大学名誉教授が本年度防災功労者 内閣総理大臣表彰を受賞されました(9月8日)。
 本紙といたしましても心よりお祝い申し上げます。

 なお、齋藤先生による直近の本紙寄稿記事は下記に掲載されています――
>>《Bosai Plus》:2017年7月1日号(No.165)「防災+防災士で災禍を防ぐ」

 また、先生によるほかの寄稿記事等へのリンクは下記記事の文末にあります。
>>《Bosai Plus》:2017年4月1日号(No.159)「岩手県第三期事業計画」


   (M. T. 記)

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無関心層を振り向かせる「防災文化」試論 [防災啓発]

「週刊ビッグコミックスピリッツ」(3月13日発売号)付録『防災ミニブック(2種)』より.jpg
上画像:小学館発行の漫画誌「週刊ビッグコミックスピリッツ」3月13日発売号が、東日本大震災から6年を機に、災害時の身の守り方や被災時に役立つ情報をまとめた「防災ミニブック」2冊を付録にしている。「1冊はあなたへ」、もう1冊は「大切な人に渡して」と、“リア充”(リアル=現実生活が充実していることを意味するネット造語)志向だ。イラスト:吉田戦車



■《Bosai Plus》 第158号・2017年03月15日号発行!
同P. 1(「もくじ」付き)へリンク

●『君と僕の防災』はまさに「リア充」

 本号の特別企画タイトルに「リア充」という言葉を使いましたが、これが死語になっていないことを祈ります。
 防災に無関心な層――若年層に限らないと思いますが、そういう人に無理やり関心を持たせようというのはなかなかむずかしい……いえ、ある意味では寺田寅彦が言うように、災害の記憶が風化するのは「人間的自然現象」で、無関心な人のほうが“自然”なのかもしれません。
 とは言え、近年は、災害は忘れずにやって来るという地変の時代の様相が色濃いわけで、やはり国民運動として広く自助・共助を進めなければなりません。

 本企画の狙いは、簡単に言えば、あまり楽しいとは言えない防災(だから“楽しい防災”と銘打った防災イベントが盛んに催されるわけです)なら、素直に“それほど楽しいものではない”と認めて、その代わりにアプローチ法を裏返して、生活を豊かにする(=リア充)努力の過程で、いつの間にか災害への備えも充実させるという手はないか、というものです。
 タイミングよく、漫画誌・週刊ビッグコミックスピリッツが『君と僕の防災』というニクい防災特集号を打ってくれました。「リア充」感をうまく表現してくれたと思います。

●「寝ていても安心な町」

 東日本大震災で大きな津波被害を受けた宮城県南三陸町では、住宅の高台移転を中心とした復興計画で「寝ていても安心な町」を標語にしているとか。これも「リア充」の復興計画と言えるかもしれません。

●無常観 VS. 有常観(リア充)

 日本人には古来、無常観が染みついていて、災害は天災としてあきらめる、忘れる、とはよく言います。だから防災が根づかないのだと。
 その意味では「リア充」は“有常観”だと言えます。有常なんて言葉はないようですが、「リア充」は“常に有る”というポジティブ志向のイメージです。
 防災が根づく可能性が……ありそうではありませんか?

   (M. T. 記)


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